話の展開が面白い漫画はこの世に沢山あるとして、
その漫画を読んだ後、その後の日々になにか還元されるような、
日常を顧みることがある漫画はありますか?と聞かれたときに何を思い浮かべますか?
私にとって、先月読んだ植芝理一の「ディスコミュニケーション」があまりに面白かったです。
ディスコミュニケーション(アフタヌーンKC)
あらすじ(wikibedia引用)
ごく普通の女子高生戸川 安里香はある日突然変わり者の同級生松笛 たか臣を唐突かつ猛烈に好きになってしまい告白。松笛はその日のうちに戸川を自宅に案内する。そこは廃屋のようなボロの建物で、奇妙な像やお札が散乱する摩訶不思議な場所で松笛は一人暮らしをしていた。松笛の寝室に案内された戸川は思わず身構えるが、松笛の最初の要求は「自分を好きになった女の子の襟足を剃ってみたい」だった。
こうして2人は一応付き合うようになるが、松笛はごく普通の高校生のように戸川にキスやその先の行為を迫ることなく、「耳掃除をさせて欲しい」「涙を飲ませて欲しい」「足の爪を切らせて欲しい」などといった奇妙な注文をしてくるのだった。戸川は不承不承ながらもそんな不思議な松笛の注文を受け入れる。
上記の引用でわかるような、試し読みで分かるような、正攻法の恋愛アプローチをしないがために甘酸っぱい青春漫画に、オカルトチックでミステリアスの要素が入り混じって、独特で魅力的なほのぼの漫画…そんなぬるい漫画ではありませんでした。
確かに、最初のうちはそうかなと思っていたのですが、
2巻くらいで唐突にファンタジー大長編へ突入します。
その唐突な導入にもかかわらず、入れ子のように何階層にもなるどこか厳かな話のつくりは、まるで私たちが寝るときに見る長編の夢のような既視感。読み終わった後の充実感。
その長編が終わると、怪奇現象に悩む同じ学校の生徒たちが戸川松笛達を訪ねてくるようになります。2人がその悩みを解決することで話が構成されます。
その怪奇現象はおおむね依頼人の男女関係の悩みからくる無意識が引き起こしていたのです。依頼人に寄り添い、その悩みを解決することにより、読者に様々な愛の形を見せてくれるように思います。
その他の日常回もファンタジー回も、読む前までは想像もつかなかった「共感」でいっぱいでした。
全私の感想
私は、感想を文として書くのが苦手なので、
全私の感想の箇条書きをしようと思います。
「町の図書館に置いてほしい。手塚治虫の三つ目がとおるが中学校の本棚にあったけど、あれがおいてあるならこれも是非置いてほしい。この漫画は街の図書館に置くに値する内容であり、この漫画を借りようとしている学生がいたら暖かい目で見守る自信がある。」
「魂のあるある」
「いままでの自分の人生について。過去には戻れないことについて。自分もいつか死ぬことについて。人間の業について。このようなことを、子供の頃よく考えていた、今でもお盆シーズンに考えてしまう。この漫画は、それに似た壮大なセンチメンタルな気分を、増幅させて、繊細に描写したかのよう。」
「大人になって、いくつかの男女関係を経験をして、男とはこういうもんだ。女とはこういうもんだ。自分は体まで全て知っている。その他ドラマや漫画に出てくる男女間のロマンティックなものは全てフィクションの世界である。こんな擦れてしまっていた私の考えも、この漫画を読むことで、男女関係のきれいな部分を再発見した」
ちなみに
ちなみに、私はkindleの電子書籍で買って、ipadで読みました。
私がこの漫画を知ったきっかけは、
昔好きだった声優がラジオドラマで松笛の声をやっていたことがきっかけです。