さかのぼること2年位前、の話からです。
私はそのころ桜井識子さんの本に影響されて、神社に興味を持ちました。
この小さな町内に10個もない神社をすべて回ろう!と意気込んでいる時期がありました。
町の神社
町内にある大概の神社は、田んぼや民家の間にありましたが、
唯一、車通りの多い道に面している神社がありました。
家から車での激安スーパーへの行き道にあり、何年も素通りしていました。
大通りに面しているのは鳥居であり、車での入口はわからなったためその神社に入ったことは一度もありませんでした。
暑さ残る10月のその日は自転車で町の図書館(自転車で20分くらいの遠さ)に行った帰りでしたが、前々から気になっていたその神社に寄りました。
自転車で神社周りを散策していると駐車場を発見しました。
駐車場は、鳥居横の小道から入り民家の間を縫ったところにありました。道は広くないし、駐車場も5台くらいしか止められそうにないので、やっぱり車でここに来るのはよそう、と改めて思いました。
町内の他の神社がすべてそうだったように、ここも無人で社務所やお守り授与所もなく、拝殿と本殿とがあるだけだろう、境内を散策して拝礼してしばらくして帰ろう、私は勝手に決めつけていました。
しかしなんと、社務所・お守り授与所に人がいました。私が滞在している間にも、駐車場にくるまがぽつぽつ停まっていき、中高年の男女が社務所に次々入っていき、最終的に5人くらいの人たちが社務所に入りました。
ひとりでひっそり参拝するのが私の性に合ってるのに、人間がいると参拝しずらいと思いました。
しかし、きっかけは忘れましたが、私がやっぱりお守りコーナーを見たかったのか、わたしはその人たちと接触しました。
そのうちひとりのおっちゃんはよく話してくれました。神社の由来などを教えてくださいました。
おっちゃんのはなし
神社のこと
「鳥居をくぐってすぐの御神木をみましたか?木に御神体を置いていたのですが、御神体をとりまくようにして木が成長している。もうすぐ飲み込まれる。見れるのは今だけですよ。」
「この神社の狛犬は極めて珍しく、逆立ちをしている。男性のシンボルが拝める。子宝祈願等でわざわざ遠方から来られる方もいるんですよ。あなたもご予定があるなら触ってみてください」
見どころを教えてくれたので、言われるがまま写真に収めました。」
町のこと
「この神社はちょうど町の中心にあたる。
北は図書館方面、
南は駅方面、
西は土手、
東は公園、商業施設」
(まさか通りがかった神社の社務所で町の観光案内みたいなことが聞けるとは思わなかった)
おっちゃんは続けます。
「どの地区から来ました?」
私「〇〇からです」
「行き道の橋を渡ってすぐのところに神社跡地があったでしょう。ここの神社に統合した形なので、ここで祈願すれば、その神社で祈願したことになります。」
「町の歴史研究をしていたので」
さらにおじさんは続けます。
「自分は元々霊的なものを信じてなかったんですが、ひとり暮らしをしていた時に毎晩金縛りにあい、女の声が聞こえたりした。
神主さんのいうとおり、部屋の四隅に塩を盛って、教わった通りに祝詞(?)を唱えて、お線香をあげて、外に出られるように、少し窓を開けるのがポイント、そしたら煙と一緒に出ていったみたい。それ以降ぴたりと収まったんです。」
それ以来、霊的なものを信じているんです。」
おじさんたちははこうして毎週末集まっているそうです。
勧誘
「丁度来週の今日、
秋の大収穫祈願で、神主さんがここへきて、祈祷をする。
ここに、住所と名前を書いたら、貴方の分も祈祷するよ。」
おっちゃんにそう言われて名簿に住所とフルネームを書きました。
「ご家族のぶんも書いていいよ」と言われて、両親のも書きました。
町内に住んでいなくてもいいけど住所がないと効力が無さそうなこと言っていたので、妹の引っ越し先がわからなかったので妹のは書きませんでした。
「そして、来週の秋の大収穫祈祷祭は出来れば来てね、お母さんとかと一緒に」といわれました。その日はそれで帰りました。
秋の大収穫祈祷祭
来週のその日、母と一緒に行きました。
あるけば30分~40分の道のりで遠かったです。
結構お客が集まっていました。40人くらいです。
このまえのおっちゃんは、来てくれてありがとう、もうちょっと待っててね。というかんじて、私と母に一袋ずつ紅白のお餅をくれました。
定刻になると祈祷を受けるので、みんな拝殿のなかに入れてもらえました。椅子がならべられていました。
儀式の際中、例のおっちゃんは玉串を捧げたり、先頭に立って祈祷をうけたりしていました。
重役っぽい雰囲気でした。この神社に結構奉納したりしているんだな。と思いました。
わたしには神霊が見えたりはしませんが、心地いい風が吹いてるな、木陰がゆれているな、と感じました。
さて、話は現代に戻ります。
市区町村の議会の選挙が、私たちの町にもありました。
私宛の選挙のお願いのはがきが来ていました。
こんなこと初めてでしたし、身に覚えもありませんでした。
わたしには〇〇党をぜひよろしくお願いします。」と熱心に言うような友達はもちろんいませんもん。
宛名欄には町名を省いた住所と私の名前に加えて、よろしくお願いします。とだけ書かれていました。
何だこりゃとおもいました。
しかし、表欄をよくよくみると、スーツを着て上空を見上げる選挙顔で気づきにくかったですが、
どうも顔があの社務所のよく話してくれたおっちゃんなんですよ。
なかなか歩くには遠い神社だし、あれ以降神社に行ったりおっちゃん見かけたりはしてないので、祈祷の名簿から取ったとしか思えないんですが、どう考えてもあのおっちゃんなんですよ。
そして、その人の名前でネットで検索すると、私が小学校高学年から中学を卒業するころくらいまで任期をつとめていた前町長さんだったようです。
何の名物もないこの町の町長なんて、
頭のいいちょっと政治に詳しい人がおかねもらうためにやるんだ。
誰も一緒だ。
近所の公民館で夜に大スクリーンで映画映すイベントが幼少期にあったのになくなったのは町長がケチだからだ。
と以前はマイナスなイメージばっかりでしたが、
人当たりがよくて、町のことをあんなによく知っていた、あんな人が町長やっていたのか。
この町のことが前より好きになりました。
選挙でこんな気持ち初めてでしたが、
おっちゃん受かれ~とおもいながら投票所に行きました。